第4回羽倉賞受賞記念講演会レポート

日時:7月12日(月)13:30~17:00
会場:オンライン

最新のICT技術を活用した最先端表現技術に関する発表が多数
今回も多様な分野の力作について、昨年の第4回羽倉賞受賞者の皆さまにご講演いただきました。どのご講演も大変素晴らしい内容でした。
回を重ねる毎にICT技術を新しい発想で表現技術に活用した興味深い作品発表が増えています。センシング技術を活用した、心臓血管外科医の名医監修による手技再現への取組やMR採血手技自習支援などの医療用xR技術応用研究、通常2D空間で理解・作業するプログラムソースコードの3DVR可視化による表現・応用へのチャレンジなど、各作品の最先端技術を改めて詳しく解説。応募時からさらに進んだ皆様の研究・開発の最新情報もご紹介いただきました。
50名超となった参加者の方々や会員からチャットを通して多くの質問があり、高い関心のもと、活発なやりとりができました。第5回羽倉賞の募集開始、本年度も期待が高まります。最先端表現技術利用推進協会では、随時会員募集も行っています。
プログラム

13:30~13:35 開会挨拶
13:35~14:05 奨励賞「採血手技自習支援用MRシステム」
秋⽥⼤学 ⼤学院理⼯学研究科
14:05~14:35 奨励賞「ソースコードVR可視化」
株式会社⽇⽴製作所
14:35~15:05 奨励賞「光のアートで校舎を包もう︕」プロジェクト
宝塚⼤学 東京メディア芸術学部
15:05~15:20 休憩
15:20~15:50 奨励賞「SYNCROOM」
ヤマハ株式会社
15:50~16:20 フォーラムエイト賞
「1枚画像からのフォトリアリスティックな歌唱およびダンスキャラクタ⾃動⽣成」

早稲田大学 先進理工学部 応用物理学科
16:20~16:50 羽倉賞「能登ひばスピーカー」
北陸最先端音響工学研究所
16:50~17:00 まとめ・閉会挨拶
講演内容
■奨励賞「採血手技自習支援用MRシステム」
秋田大学 大学院理工学研究科
数理・電気電子情報学専攻 人間情報工学コース 教授
水戸部一孝氏
さまざまな分野の熟練者による手指を使った技術を、巧緻動作計測Hand-MoCapにより顕微鏡レベルで解析。これをCGで表現し、HMDを介して立体的に観察し、さらに訓練用腕モデルの併用で触覚フィードバックが得られる訓練システムを開発。医療向けxRとして実用化するための応用研究としてさらなる展開を行っている。

■奨励賞「ソースコードVR可視化」
株式会社日立製作所
研究開発グループシステムイノベーションセンタ システム生産性研究部 企画員、主任研究員
堀旭宏氏、川上真澄氏
ソースコードを分析してソフトウェアの構造を点や線で表し、VRで疑似的に可視化することで、ソースコードの様々なレベルの概念やオブジェクトなどを立体的に見渡し、関数単位のフォーカスやデバッグの実行も行える。これは、アイディア創出、設計、実装、レビュー、検証など、ソフトウェア開発における各工程で役立つ。

■奨励賞「光のアートで校舎を包もう!」プロジェクト
宝塚大学 東京メディア芸術学部
教授 渡邉哲意氏
高校生と大学生が、高輝度プロジェクター10数台を用いて校舎全体をプロジェクションアートの「デジタル掛軸」で包むイベントを、アクティブラーニングとして実施。コロナ禍において中止となった文化祭の代わりにこのプロジェクトを実施したことで話題となり、TVのニュースでも紹介された。

■奨励賞「SYNCROOM」
ヤマハ株式会社
SYNCROOMプロジェクト開発主幹
大島治氏
遠隔合奏を遅延なく実現するSYNCROOMとその技術について紹介。2020年のコロナによる環境の変化で、ライブやスタジオでの活動に大幅な制約が生じ様々な人の演奏活動に支障をきたしたが、SYNCROOMを使って離れた場所で演奏活動を行い配信をする例が急増。演奏を継続的に楽しむための選択肢を広げる技術として活躍している。

■フォーラムエイト賞「1枚画像からのフォトリアリスティックな歌唱およびダンスキャラクタ自動生成」
早稲田大学 先進理工学部 応用物理学科
教授 森島繁生氏
1枚の着衣全身写真から全身3次元モデルとテクスチャを、1枚の顔画像から3次元形状を推定し、さらに、動画3次元のダンス動作を認識しモデル化、歌唱から歌手の個性を反映した歌い回しをモデリングし別の曲に転写するという技術により、ハイクオリティなデジタルヒューマンモデルの素早い生成を実現している。

■羽倉賞「能登ひばスピーカー」
北陸最先端音響工学研究所
所長 小杉剛司氏
地域経済の活性化を願い、「能登ひば」を使用した従来方式のアンプにはない音響特性を持つスピーカーを開発。今後、大小さまざまな応用を広げ、複数のスピーカーユニットとアンプを一体化したマルチアンプシステムでその音響の魅力をより引き出すことを目指し、さらなる研究開発を進めている。

>>第4回羽倉賞 受賞作品一覧