最先端表現技術利用推進協会レポート

Vol.38

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会員紹介

CG-ARTS(公益財団法人画像情報教育振興協会)

今号では、この度表技協の会員に入会されましたCG-ARTS(公益財団法人 画像情報教育振興協会)をご紹介いたします。


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人材育成と文化振興に貢献

CG-ARTSは、コンピュータを利用した画像情報分野の人材育成と文化振興の一翼を担う組織として、30年以上に渡って活動を続けてきました。前身となったのは、1985年に日本初のCGスタジオでスタッフ教育のため発足した「CGカリキュラム研究会」。その後、CGの進歩と広がりとともに発展し、1990年にはIT関連企業などのサポートを受けて財団法人設立準備委員会が発足。1991年に 体系的なCG教育カリキュラムが完成し、現在のCG-ARTSが創設されました。

文化振興としては、「文化庁メディア芸術祭」に立ち上げ段階から関わり、1995年からは学生CGコンテストを主催しています。メディアアート、ゲーム、アニメーション、マンガ等、メディア芸術分野を中心に、新しい才能を社会につなげていくための様々な活動に取り組むとともに、社会からの要望に応えて様々なソリューションを提供しています。また、デジタル情報技術を駆使した新たな価値を創造できる人材の育成として、教育カリキュラムの作成、教材の開発・出版、目標となる検定の実施、教育機関の支援など、様々な活動を行っています。

協会の理念

5種類のCG-ARTS検定を実施

CG-ARTSでは、画像を中心とした情報分野のスキルアップを図る5つの検定試験を実施。「ベーシック」と「エキスパート」の2 段階が用意された検定試験の学習を通じて、さまざまなデジタル情報を使って新たな価値の創造ができる人材を育成し、この分野に携わる人たちをサポートしています。さらに、CG-ARTS検定に対応したテキストや問題集、実践書・応用書を出版しているほか、教育者用の教材も開発・提供しています。

人材育成事業における連携

フォーラムエイトではCG-ARTSの賛助会員として長年「人材育成パートナー」を務めており、「CGKyoto2022」などの同協会後援イベントにも協賛しています。また、表技協では、2018年の第2回羽倉賞より、応募作品の推薦団体としてCG-ARTSに協力いただいており、これまで、優れた画像表現の受賞作品を多数推薦いただきました。今後も相互に協力を継続し、表現技術分野の発展と人材育成を推進していきます。

        CG-ARTS検定のラインナップと関連書籍

第6回羽倉賞受賞記念作品発表

羽倉賞は、表技協の創設者であり、3D立体映像、ホログラフィ、VRなどの最先端表現技術の研究、普及に多大な功績を残された故羽倉弘之氏の功績を称え、表現技術の質を高めて広い分野への普及に貢献するために、2017年に表技協により創設されました。分野を問わず最先端の表現技術を活用した作品および取り組みを通して社会に貢献した功績を表彰します。2022年11月18日、FORUM8デザインフェスティバル2022 Day2にて第6回羽倉賞表彰式を実施。応募作品の中から、羽倉賞1作品、フォーラムエイトDKFORUM賞1作品、優秀賞2作品、奨励賞3作品の計7作品が選ばれました。

羽倉賞

「アナモルフォーシスに基づく個人用裸眼立体視システム」

慶應義塾大学理工学部情報工学科 藤代一成研究室

アナモルフォーシスは、特定視点から観察する際にのみ正しい投影像が得られる古典的な錯視技法。これを利用して2枚の画用紙を通常のディスプレイモニタに取替え、Webカメラ越しに見る者の視点を追跡。アナモルフォーシスをリアルタイムに再計算・提示することで、手軽に運動視差を誘発する立体視システムを設計。しかし近接した小規模の投影像では両眼視差の影響で効果が低減する。そこでユーザ個々に両眼間に理想的な投影像を結ぶ位置(サイクロープスの眼)が存在する事実に基づき最適なアナモルフォーシスを保証する較正機能を追加したことで、折畳みディスプレイを搭載したラップトップPC上でも眼精疲労の少ない個人向け裸眼立体視環境を実現。

優秀賞

「超高臨場感通信技術Kirari!」

NTT株式会社 人間情報研究所

東京2020オリンピックにおける新たな観戦体験の創造。スポーツ観戦における臨場感・一体感を、実際に会場に来られない方にも届けることにチャレンジし、世界初となる技術的な成果を得た。視野角を覆うような超ワイド映像を伝送し、セーリングでは巨大な競技映像を海上に浮かべ映像と空・海の境界線を融合し、空間まるごとワープしてきたかのような臨場感を提供。バドミントンでは選手映像のみを切り出し、遠隔地でホログラフィックに表示。マラソン競技では沿道の画面を見る選手が多く、沿道で立って応援してくれているかのような感覚を提供。

優秀賞

「音が飛び出すピタゴラスイッチ」

NHK放送技術研究所 テレビ方式研究部

ラインアレイスピーカを用いた音場合成技術。複数の楽器がスクリーンから飛び出し、あたかも聴取者の目の前から後方に通り抜けたり、聴取者の周りをぐるりと回るなど、聴取者の周囲近傍の空間上で音が奏でられているように感じるコンテンツを制作。複数スピーカユニットを直線配置したラインアレイスピーカを用い、ターゲットとなる音の空間を合成する音場合成技術を応用。スピーカよりも手前で楽器が鳴っている音空間をターゲットとして計算される強さやタイミングで、個々のスピーカユニットから音を再生することで、実際には存在しない楽器がスピーカよりも聴取者の近傍で鳴っているように感じられる。また、複数の楽器が移動しながら音を奏でる表現も可能。

フォーラムエイトDKFORUM賞

「D-K AMP」

株式会社ユウプラス

D-K/デジタル掛け軸を、ミラーの反射により画像が増幅され、球体を形成した画像を空間に浮かび上がらせる。イメージ生成装置として、各種イベントのインスタレーションとしての利用の他、D-K/デジタル掛け軸の医学的な知見を活かし、リラクゼーションや瞑想の装置としての利用が可能。プロジェクタの存在を感じることがないため、プロジェクションマッピングにおける映像演出効果を大幅に高める。また、再帰透過光学系による立体像を利用しているため、体験者の手や体が光路を遮っても影がほとんどできず、映像投影された対象物体に直接手で触れて動かすようなインタラクションも可能。

奨励賞

「”見えない”プロジェクタによる触れる動的プロジェクションマッピング」

電気通信大学 大学院情報理工学研究科 橋本研究室

一般的な投影装置(プロジェクタ)を体験者から見えないように隠し、体験者が直接触って動かす物体に追従し見た目を変化させる、最先端の立体映像生成技術と組み合わせた動的プロジェクションマッピング。プロジェクタの存在を感じないため、映像演出効果を大幅に高める。また、再帰透過光学系による立体像の利用により、体験者の手や体が光路を遮っても影がほとんどできず、映像投影された対象物体に直接手で触れて動かすインタラクションも可能。

奨励賞

「Deepfake Video Self-modeling」

神戸大学大学院 工学研究科/ソフトバンク

ダンスをマスターした自身の映像を先に見ることによるダンス学習支援。理想的な動作を行う自身の映像を見ることで行動の改善を促す「ビデオセルフモデリング」は、運動技能の学習においても有効とされる。しかし、その映像を作成するには多くの時間と手間がかかる。そこで、深層学習による映像生成技術を用いて、参照動画中のダンサーの動作と同じ動作を行う学習者自身の映像を自動で生成し、その映像を見ることで学習を促す「Deepfake Video Self-modeling」を提案。「自分がダンスしているように感じた」参加者は、提案手法の学習効果が高い傾向がみられた。

奨励賞

「移動する車を用いた立体的プロジェクションマッピング」

愛知工業大学大学院 経営情報科学研究科/トヨタ紡織/NTTドコモ

GPSとコンパスで車の位置と方向を取得、リアルタイムで投影映像に反映させ、地面に張り付いたような映像を投影。さらに車が移動するシーン全体を3DCGとして構築、その中に三次元物体、仮想的な車と2台のプロジェクタ、仮想観察者を配置。投影映像にトリックアートの立体感と車の移動に伴う運動視差立体視の要素を持たせ、暗闇の中の三次元物体がヘッドライトに照らされて現れる様子を車内外から立体的に観察するという、今までにない表現を実現。

(Up&Coming '23 新年号掲載)



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